コスメの常識・非常識

美容雑誌がズラリと本屋さんの店頭を飾り、ほとんどの一般女性誌に"肌""コスメ""メイク”"美"といった文字がおどっています。それが。美容情報大国・日本の現状です。

対して。美容大国フランスではどうかといえば、メイクやスキンケアの美容情報誌は1、2種類しかありませんし、ほかの一般的な女性誌での美容関連のページは10%もあれば多いほう。それもほとんどが新製品のPRにすぎません。ほかの欧州諸国と比較してみても、日本ほど美容精樅があふれている国はないのです。

 それらに加えて、インターネットで連日更新される莫大な情報の渦。プロフェッショナルなWebサイトだけでなく、愛好家の心温まるブログからtwittel のような気軽なつぶやきまで含めたら、いったいどれほどの情報が流れているのか、想像もできないほどです。

日本の美容情報を巡る状況は、まさしく洪水のよう。ほとんどカオスとしか表現のしようがありません。

そうした記事や書き込みを目で追っては「なるほど」と楽しい気分になり、女性であることの恵みを楽しんだりもします。けれど、無意識にプロの頭で解析する癖もついていますから、逆に「……?」と疑問を感じたり、なかにはハッキリと異を唱えたくなるものも存在します。

情報というものは、いつも決まって玉石混淆なのです。残念なことに、誤りであるものもたくさん存在します。商品を大限に売らんがために虚実をないまぜにしたような、誤解させることが目的なのかと思えるものすら、ときどき見かけます。

多くのまじめな美容家の皆さんが研究と裏付け作業を繰り返し、正しい情報を発信している一方で、メディアを巧みに利用した一部の美容家を名乗る人たちがもっともらしい美容論を展開し、その結果、肌にダメージを受けるような憂き目に遭われている方もいらっしやいます。

明らかに肌のためには良くないと思われることで あっても、もっともらしい理論武装とセンセーショナルな言葉で高らかにうたわれていたら、疑うことなく商品を手にしたり美容法を実践したりする人がいたとしても不思議はありません。こうした場合につらい思いを強いられるのは、常に罪のないユーザーなのです。

もちろんそれらの多くは非合法ではないので責められる筋合いはないのかも知れませんが、コスメや美容法は、皮胸という"臓器"に直接作用するもの。人体に影響を及ぼす可能性が高いものである以上は、せめて。現時点での最新・医学に裏打ちされたものであるべきだ、と私は考えるのです。

フランスという国にはダメなところもたくさんありますが、少なくとも国民性としてプロ意識が高いという部分だけは大いに評価されるべきで、セレブが香水づくりにご意見番として関与することはあっても、肌に直接影響を及ぼすようなコスメをプロデュースすることはあり得ません。

また、フランスではメディアーリテラシーがしっかりしているというか、他入のいうことをそのまま受け収らず、自分なりに調べて学習したりと咀嚼をするのが習慣になっていることもあり、仮にそうした商品がセンセーショナルなキャッチコピーとともに登場したとしても、ほんとうにいいものであるという実態が理解できるまでは飛びついたりすることもありません。そもそもコスメの調査機関の敷居も高ければ関門も狭く、臨床テストの恭準も厳しければサンプル数も他国の比ではないほど多いため、粗悪なものが世に出る可能性は極端に少ないという大前提があるのに、です。

スキンケアの王道は、じつは極めてシンプル。

不要なものを収り去り、必要なものを哺って、危険なものから保誕をする。それだけです。そこから先はだれもが自ら持っているホメオスタシス(恒常性)、つまり。肌カタにまかせていいのです。そこにはエキセントリックな新説やだれも考えもしなかったイレギュラーな方法、煽動的な言柴といったものがつけいる余地はありません。

とはいうものの、実は医学の財界でさえも研究が日々進み、昨日までの常識が今日からの非常識になることもあれば、治療法だって進化します。現代美容術がベースとするべき皮膚美容医学も、いまだ発展の途上にあるといっていいでしょう。

太古から変わらない人間の営みに対して、西洋医学はせいぜい数百年の歴史しかありません。そんななか、検証された情報を常にアップデートしながらそのたびに正しく発信していくことは、プロ集団に課せられた義務であり、良心だと考えます。

何より同じ女性のひとりとして、見すごしてはならない、と感じています。「きれいになりたい」「幸せになりたい」という願いの一途さや想いの強さ、切 ないまでの心の内が痛いくらいに解るからです。私も皮膚科専門医である前に、 ひとりの女性なのですから……。

今回のQ&Aは、twitter SNS、拙HPなどを迦じて寄せられた数々の 質間から、もはや”美容都市伝説”と呼ぶべき巾象に関連することや、多くの 人が関心を持っていらっしやる疑間を中心にピックアップし、最新の医学的エビデンスに基づいてお答えしていくかたちを採りました。

読む目的のはっきりしている方は、巻末のインデックスから拾っていただくのが早いかと思います。現代の医学ではいったい何が正しいとされて何が誤りとされているのか、あなたのこれまでの考え方や行動と比較しながら全体をお読みいただくのも、今後のメディアーリテラシーを考えるうえでお役に立つのではないかと思います。

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